鳴り止まない電話

通話無料をいいことに
いつでも貴方はかけてくる
イヤホンマイクを身に着けて
何をしてても電話する
そんな貴方に辟易し
電話を放置してみるも
震える度に心揺れ
無視する度に胸痛む
簡易留守録聴いてみた
無邪気な声に根負けし
着信履歴呼び出して
ため息交じりに発信す
やっぱり無邪気な声聞いて
貴方を想う自分に苦笑

身勝手

生活に疲れた
誰かに会いたい
話をしたい
話を聴いてほしい
もう限界だ
でも――
他人は私を癒やす為のものじゃない
くたびれた人間の愚痴を聴いて楽しい人は居ない
私がそうであるように
なのに、話を聞いてほしい?
――なんて身勝手
相手の愚痴は聴きたくない?
そう――
身勝手な私の独り言

あなたは永遠に私のもの

彼が床に倒れこんだ
後頭部から血を流しながら
もはや一言も発さずに
やった
これで、もう彼は誰の元には行かない
私以外の女の元には
あの忌々しい女の元には
周りは言っていた
あいつの方が彼にふさわしいと
彼もあいつに惹かれていた
私の想いが届かないくらいに
だから、私は行動した
目の前に、その結果がある
先が赤く染まった銅像と共に
私は彼を抱き寄せた
『まだ』温かい
おそらく、周囲は言うだろう
彼のことが好きなら、何故そんな惨いことを
『人形』のように動かない奴がいいのか、と
惨い?−私の想いを知っていながら、無視し続けた彼もだ
だから、力ずくで想いをぶつけるしかなかった
人形?−確かに『人間』と一緒ではつりあわない
ならば、私も『人形』になればいいのだ
私は彼に抱きついた
骨が軋まんばかりに抱きしめた
そして、奥歯に仕込んだカプセルを噛み砕いた
…しばらくして、体が痙攣し、意識が薄れていく
やった私は初めてあいつに勝った
もう離さない
永遠に…